外陰部および腟のカンジダ症とは?原因や主な症状、対策について

外陰部および腟のカンジダ症とは?原因や主な症状、対策について

カンジダ症とは、人の常在菌のひとつであるカンジダ菌という真菌(カビ)によって起こる感染症です。本記事では、主に皮膚や粘膜、特に外陰部や腟などにあらわれるカンジダ症について原因や主な症状、生活の中でできる対策についての概要をご紹介します。

※注意

本コンテンツでは、外陰部および腟に関与するカンジダ症をご紹介いたします。
ただし、外陰部や腟にかゆみなどの症状を伴う疾患は他にも様々なものがあるほか、さらに、原因の異なる疾患が併発している場合なども考えられます。
日常的な対策を行ってもくり返し発生する、重篤な症状があるなどの場合は、自己判断で対処するのではなく、必ず婦人科を受診するようにしましょう。

カンジダ症とは

カンジダ症とは、真菌(カビ)の一種であるカンジダ菌によって起こる感染症の総称です。カンジダ菌は温かく湿った環境を好み、健康な人の腸内などに一般的に存在しています。しかし、何らかのきっかけによって、皮膚や粘膜などにカンジダ菌が異常に増殖するとカンジダ症を発症するといわれています。

2.カンジダ症の原因

カンジダ症発症の要因としては、以下のようなものが考えられます。

2.1.高温多湿の環境

カンジダ菌はカビの一種であるため、温かく湿った場所で増殖します。ナプキンやおりものシートをあまり交換せずに使い続けたり、デリケートゾーンを締め付けるような通気性の悪い下着や衣類を着用したりすることで、デリケートゾーン周辺の皮膚が高温多湿に保たれます。その結果カンジダ菌にとって好ましい環境となり、より増殖しやすくなるといえます。

2.2.デリケートゾーンの洗いすぎ

女性の腟内には、「デーデルライン桿菌(かんきん)」という乳酸菌の一種が棲んでおり、菌の働きにより腟内を酸性に保つことでカンジダ菌などの雑菌が増殖しにくくなっています。しかし、過剰な洗浄などで腟内環境がアルカリ性に傾くと、腟内にカンジダ菌や雑菌が増殖しやすくなります。
具体的には、トイレに行くたびにウォシュレットやビデを頻繁に使う、入浴時に良かれと思って腟の方まで洗うなどがあります。かゆみやにおいなどを気にして洗いすぎることのないように気をつけましょう。

2.3.病気、ストレス、寝不足、疲労などによる免疫力の低下

かぜをひいて体力が落ちていたり、過度なストレス、疲労にさらされたりすることで、身体に本来備わっている免疫力が低下すると、腟内の常在菌のバランスが崩れ、カンジダ症を発症しやすくなります。特に女性の場合は、体調不良や寝不足、生理や更年期などによるホルモンバランスの乱れがカンジダ症の発症に関係するとされています。

2.4.その他

カンジダ菌は抗生物質の服用により発症しやすくなります。腟内を酸性に保つ乳酸菌が抗生物質の影響で減少するためといわれています。そのほか、糖尿病などの慢性疾患によって免疫力が低下している人もカンジダ菌に感染しやすくなるといわれています。

3.カンジダ症の症状

外陰部の皮膚がカンジダ症になると、かゆみや赤みが現れます。
また、腟にカンジダが増殖することで腟カンジダ症となり、カンジダ症特有のおりものの増加などの症状があらわれます。主な症状について詳しくみていきましょう。

3.1.腟や外陰部のかゆみ

過剰なカンジダ菌の増殖により腟や外陰部に炎症が起き、かゆみ症状が出ます。
患部は赤みや熱感、発疹をともない、排尿時や性交時に痛みをともなうこともあります。

3.2.白いヨーグルト状のおりものの増加

腟カンジダ症の症状の特徴として、ヨーグルトや酒かす状、おかゆ状などといわれる独特な性状をしたおりものの増加がみられます。ティッシュでおりものを拭き取ろうとすると、白い塊がぽろぽろと落ちるので、カッテージチーズ状といわれることもあります。いつものおりものと違うと感じる時は注意が必要といえます。

4.カンジダ症の治療方法

カンジダ症の治療方法

カンジダ症の症状がごく軽度の場合は自然治癒することもあります。しかし症状が強い場合は自然治癒が難しいため、きちんと治療する必要があります。カンジダ症の多くは再発しやすく、免疫力が低下するたびに同じ症状を繰り返す人も多いため、症状に気付いたら治療しましょう。

カンジダ症の治療は医療機関でおこなうのが基本です。特にはじめてカンジダ症が疑われる症状が出た人は、その症状がカンジダ症によるものなのか別の病気によるものなのかの自己判断ができないため、婦人科を受診して医師の診断と治療を受けましょう。
病院では、カンジダ菌の増殖を抑える抗真菌(抗カビ)薬の腟錠や飲み薬、塗り薬などが使われます。症状が良くなったからといって、途中で治療を中断してしまうと、再発するリスクがあるため、医師の指示に従いましょう。

5.カンジダ症に悩む方の生活の工夫

カンジダ症に悩む方の生活の工夫

カンジダ症は一度治っても、免疫力の低下などで再発しやすい病気です。カンジダ症にかかってしまった、カンジダ症を何度か繰り返している。そんな悩みを抱えている方へ生活の工夫をご紹介します。

5.1.免疫力を高める

カンジダ菌は免疫機能が低下すると繁殖しやすくなります。バランスの良い食事と十分な睡眠・休息をとって免疫力を高めましょう。かぜをひくなど調子を崩した時には体力も落ちていますので無理をせず、身体が十分に回復するのを待ちましょう。仕事が忙しく、寝不足が続いている時やストレスが溜まっている時も免疫力が低下しやすいため注意が必要です。意識的に休息をとったり、軽い運動を取り入れたりしてリフレッシュする習慣を身につけて免疫力をキープしましょう。

5.2.汗などで蒸れない工夫をする

普段から清潔で通気性の良い下着を着用し、汗などで汚れたらこまめに交換するなど、デリケートゾーンが蒸れない工夫をしましょう。おりものが気になる時や生理の時は、おりものシートやナプキンに付着した分泌物が蒸れの原因になります。こまめにトイレに行って交換するようにしましょう。特に高温多湿な夏場は、カンジダ症が発生しやすい季節ですので、蒸れ対策をしっかりとおこないましょう。

5.3.洗う時は、デリケートゾーンの外側をやさしく泡でなでるように洗う

健康な腟内は常在菌の働きによって弱酸性に保たれていて、雑菌が増えにくい環境になっています。ところが、かゆみを感じた時に清潔にしようとしっかり洗うことで、かえって症状の悪化につながることもあります。正常な腟内環境を保つためにも、腟内は洗わないように気をつけましょう。
お風呂で洗う時は、洗浄剤を手でよく泡立ててから、デリケートゾーンの外側をやさしくなでるようにして洗いましょう。また、タオル・スポンジでゴシゴシと洗うことは避けましょう。

6.まとめ

カンジダ症は女性にとって身近な病気です。
しかし、カンジダ菌が健康な人の腸内に常在していることから、再発を繰り返しやすく、根本的な解決が難しい疾患です。
カンジダ症を防ぐためには、十分な睡眠と食事、適度な運動によって日ごろから免疫力を高めるとともに、デリケートゾーンの蒸れを防ぎ、清潔に保つことが大切です。
ただし、洗いすぎは腟環境を乱し、かえって悪影響をおよぼすことにつながるため気をつけましょう。
本記事の内容が少しでもお役に立てますと幸いです。

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