デリケートゾーン(陰部)がかゆい…。
なかなか人には話しづらいそんな悩みを抱える女性は少なくありません。
デリケートゾーンは体の他の部位に比べ、バリア機能を担う角質層が薄いという特徴があります。さらに経血やおりもの、汗や排泄物の付着や蒸れ、生理用品やトイレットペーパーによる摩擦など、かゆみや黒ずみなどのトラブルが起きやすい部位といえます。
本記事では、デリケートゾーンがかゆくなる主な原因や、正しい対処法について解説します。さらにかゆみなどのトラブルを防ぐためのデリケートゾーンのケア方法や洗い方についてもご紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。
人には話しづらいデリケートゾーンの悩みですが、実は女性の大半がなにかしらの悩みを抱えていることがわかっています。20~50代の女性30,000人を対象に実施したWEBアンケート調査の結果を元に、女性が抱えるデリケートゾーンの悩みの実態を詳しくみてみましょう。
調査の結果、過去1年間にデリケートゾーンの悩みがあった人の割合は約67%でした。デリケートゾーンの悩みで多かったのが、「臭い(50.4%)」、「かゆみ(50.3%)」で、約2人に1人の女性が悩んでいることがわかりました。その他の悩みとしては、「おりものの状態(39.8%)」、「黒ずみ(34.0%)」などがありました。(2022年3月 20~50代の女性30,000人を対象としたwebアンケート 持田ヘルスケア調べ)
このようにデリケートゾーンの変化やトラブルは女性には発生しやすい悩みであることがわかります。
しかし気軽に相談しづらい部位であるために「デリケートゾーンがかゆいのは私だけ?」「臭いがおかしい気がする」「白いおりものが出てきた」などといった悩みや不安を抱え、一人で悩んでいる方も少なくはありません。
デリケートゾーンのかゆみは、何らかの原因によってデリケートゾーンの皮膚や粘膜に炎症が起きることによって生じます。かゆみを引き起こす主な原因についてみてみましょう。
かぶれとは皮膚や粘膜に炎症が起きている状態です。
皮膚は最外部にある角質層がバリア機能を発揮することで、体を外的刺激から守っています。しかしデリケートゾーンの皮膚は角質層自体が他の部位と比べ薄いため、特にかぶれが生じやすい部位といえます。
さらに汗やおりもの、尿などによって蒸れた状態が長時間継続すると、角質細胞が過剰に湿潤してバリア機能は低下します。するとトイレットペーパーによるふき取り、生理用品のこすれ、ゴシゴシ洗いなどの摩擦刺激でより皮膚の損傷が起こりやすくなります。
感染症が原因でデリケートゾーンがかゆくなることもあります。デリケートゾーンのかゆみに関連する感染症でよくみられるのがカンジダ症です。
カンジダ菌という真菌(カビ)の一種によって起こる感染症です。
デリケートゾーン周辺皮膚の蒸れが継続してカンジダ菌が好む環境になると、皮膚にカンジダ菌が感染することがあります。デリケートゾーン周辺皮膚や粘膜に感染すると、かゆみや赤みをともないます。
カンジダ症は多くの女性が一度は経験するといわれており、また再発を繰り返すことも多い疾患です。
さらに詳しくはこちらの記事もご覧ください。
カンジダ症とは?原因や主な症状、予防方法について
その他、デリケートゾーンのかゆみに繋がる可能性がある感染症には様々な種類のものがあります。
それぞれ原因や対処法が異なるため、かゆみの他にも気になる症状がある方は、産婦人科専門医に相談することをおすすめします。
デリケートゾーンにかゆみがある時は、デリケートゾーンの皮膚や粘膜になんらかのトラブルが生じているサインです。がまんせずに対処しましょう。
デリケートゾーンのかゆみには、かぶれ以外にも、感染症など疾患が原因で起こるものもあるため、医療機関を受診するのが基本ですが、原因が明らかで症状が軽度な場合は、市販薬で一時的に対処することもできます。
ここでは、デリケートゾーンのかゆみを抑えるための対処法とセルフケアの注意点について解説します。
デリケートゾーンのかゆみが、生理中のナプキンによるかぶれや、下着によるかぶれなど原因が明らかであり、症状がごく軽いものであれば、原因になったものとの接触を避け、デリケートゾーン用の市販薬(OTC医薬品)を塗ってセルフケアすることができます。デリケートゾーンは角質層が薄いので、市販薬を使用する場合は必ず専用の製品を利用するようにしましょう。
使用方法などで迷った時には薬剤師に相談するようにしましょう。
強いかゆみや、おりものの異常、痛み・ヒリヒリ感などがある場合、医療機関を受診しましょう。市販薬を使用しても症状がよくならない、再発を繰り返す時などにも受診が必要です。
特にいままでに婦人科受診の経験がない方は「恥ずかしい」という気持ちや不安感、抵抗感がある場合も多いと思います。しかし、思わぬ病気が潜んでいる可能性もあるため、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
デリケートゾーンのかゆみは、人に話しづらく、受診にも抵抗感を抱きやすいため、自己流のセルフケアでなんとか対処しようとする人もいます。しかし、手軽にアクセスできるインターネットやSNSにあふれる情報のなかには、間違ったセルフケア情報が多く存在するため、注意が必要です。
たとえば、デリケートゾーンを清潔に保つために、ウォシュレットやビデを正しく使用する分には有効ですが、これらを過剰に使用して洗いすぎると、むしろ皮膚のバリア機能を低下させたり、腟内に存在する乳酸菌などの善玉菌を減らしてしまったりして逆効果になるリスクがあります。
SNSやネットの情報を鵜呑みにせず、正しい知識をつけるようにしましょう。
かゆみなどのトラブルを防ぐためには、日々の生活でデリケートゾーンをケアし、清潔に保つことが大切です。デリケートゾーンの正しいケアについて、ポイントを押さえながら詳しくみていきましょう。
角質が薄く刺激を受けやすいデリケートゾーンは、入浴の際には日常的に低刺激性の洗浄料を使用することをおすすめします。全身用のボディソープを使って区別せずに洗浄される方も多いですが、刺激を感じるようであれば見直すことをおすすめします。
デリケートゾーンの特性にあわせて開発された石鹸もありますので、そういったものも試してみてもよいでしょう。近年では、ドラッグストアの生理用品コーナーの横などに石鹸が置いてある店舗も増えてきています。
特にかゆみが起こりやすい方が選ぶポイントは以下の通りです。
角質層が薄いデリケートな部位だからこそ、低刺激性であることが重要です。
最初から泡で出てくるポンプタイプの泡石鹸が使いやすく便利です。
ムレやすくカビの増えやすい部位のため、抗真菌(抗カビ)成分配合で、カビを殺菌・洗浄できる石鹸もおすすめです。
デリケートゾーンはやさしく洗うことをこころがけましょう。はじめに、洗浄部位をぬるま湯ですすぎ、汗や尿などの水性の汚れを落とします。そのあと、洗浄料をあらかじめよく泡立ててから、指の腹をやさしくあてて丁寧に洗います。
上にも記載がありますが、泡ででてくる石鹸が便利です。
泡は摩擦を軽減するクッションの役割として働きます。石鹸の泡立てが不十分ですと、指でデリケートゾーンをこすってしまい、周辺皮膚や粘膜のダメージにつながることもあります。泡でなでて洗う事がポイントです。
女性のデリケートゾーンは入り組んだ形をしていて、ヒダの間には恥垢(ちこう)とよばれる白いクリーム状の汚れが溜まりやすくなっています。恥垢を取り除こうと、強く擦ったり、スポンジを使用したりすると、皮膚や粘膜を傷つけてしまう恐れがあるため、過度に気にしすぎないことも大切です。
やさしく洗い終わったらぬるま湯で丁寧にすすぎ、石鹸が残らないように注意しましょう。
誤った情報として、デリケートゾーンはお湯だけで洗浄するのが良いといわれることがあります。デリケートゾーン周辺には皮脂腺が存在しており皮脂汚れもありますので、お湯だけでは汚れが落ち切らない場合もあります。
洗浄時に石鹸は必ず使うようにしましょう。
洗浄後は柔らかいタオルで押さえるようにやさしく拭きましょう。
日中も汗をかいた際には下着を交換したいところですが、外出時などで難しい場合はおりものシートなどを活用するのもおすすめです。その際、おりものシートはこまめに交換するようにしましょう。
締め付けるサイズ感の下着やジーンズなどの着用は避けて、通気がよい衣類を選ぶのもポイントです。
デリケートゾーンは、汗やおりもの、排泄物や下着による擦れやむれなどの刺激を受けやすく、さらにカビや菌が繁殖しやすい環境のため、かゆみなどのトラブルが起きやすい部位であることがわかりました。
また、女性のデリケートゾーンについての悩みは周囲の方に相談しにくいこともあり、誤った洗浄などの自己流ケアによってトラブルを起こしやすいという側面もあります。
デリケートゾーンの皮膚はとても薄くて敏感です。かゆみがある時はゴシゴシとしっかり洗いたくなりますが、洗いすぎ、擦り過ぎは皮膚を傷つけ、かゆみの悪化にもつながります。デリケートゾーンを洗う時は、こすり洗いを防ぐためにも泡タイプのものを使うなどして、やさしく洗うようにしましょう。
気になる症状がある場合は、一度は婦人科を受診して相談することも大切です。
本記事の内容が、デリケートゾーンのかゆみを気にせず毎日をお過ごしいただくための一助となれば幸いです。